バッカスの夏、岩井の夏。毎年恒例、岩井の夏合宿である。
夏の盛り、聖地巡礼の如く全国のマンドリン楽団や吹奏楽団、交響楽団、合唱団が集う岩井だが、今年は震災の影響か、例年なら岩井海岸に並ぶ民宿からはき出される、カオティックなまでに交錯する管の音が聞えなかった。いつもビーチ・パラソルで埋め尽くされる砂浜も、今年は少し寂しい。
「岩井賛歌」を知ったのは17、8年前だろうか。富山町に伝わる郷土の歌だ。歌詞全文を掲載するのは差し控えるが、「イワイ・ビーチはヤングの天地」に見られるJラップばりのライム、「砂の中の銀河」に並ぶ名リリック「愛のクロール二人で切れは」を考えた人のセンスは最高だと思う。
さて、お昼に毎年お世話になっている「川きん」さんに集合したメンバーは、早々にホールに椅子と譜面台を合奏形態に設置すると、各パートごとにホールのほか母屋や別館に別れ、パート練習を開始した。
練習に励む1st。 新トップ率いる2nd。
安定感抜群のマンドラテナー。 楽団のオアシス、管パート。
全員左腕。 笑ってる場合ですよ!
探さないでください。
3時間余りのパート練習後、ホールに戻って合奏練習である。第1部の指揮者殿が仕事で遅れるため、今日は2部と3部の合奏となった。
本番まで2週間あまりだが、いまだに指揮者の初めの一振りで今の最高の演奏をするのは難しい。曲の頭を2、3回繰り返し、演奏者の「暖気運転」が済めばいい演奏になるのだが。
食事は合宿の楽しみの一つである。川きんさんは毎回豪勢な料理を出してくれる。
ぼくは春合宿に行けなかったのだが、団員の一人が今回の夏合宿に来てくれてよかったと言ってくれた。
「春合宿の時は、来られなくなった人の分のご飯を食べてくれる人がいなかったんです」
・・・それだけ?
執行部の仕事風景を2つばかり。
合宿係は集金中。 打合せ中の打上げ係。
食事の後、引き続き合奏練習である。
「最初に出した音に責任を持ちなさい。」かつてヴァイオリンの先生に言われた言葉である。音は一度外に出したら、二度と元に戻らないのだから。
練習後、0時に食堂に集まる。初日の打上げ、通称「しょにちや」だ。有志が自慢の一品を持ち寄り、知る人ぞ知る旨酒を口にできる夢のような企画である。
実はこのとき1部指揮者殿が合宿所に到着し、各パート・トップを集めて譜面合わせをしていたのだが(今年ほどトップを降りてよかったと思った年はない!)、それを終えたトップが合流し、最終的には20名程に増えたようだ。
飲み過ぎたぼくは早々に2階の大部屋に退散して床についてしまったのだが、階下からしばしば響いてきたのは、いかにもこの団体らしい祭りの喧騒のような賑やかさと、それを軽く凌駕する爆笑であった。
ぼくの人生最後のとき、走馬灯で最後に聞くのはこの爆笑かもしれないなあと思いながら終わった、合宿初日である。
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